Life is Journey ~小さき花、春~ 2016.02

Life is Journey ~小さき花、春~

今、ジョアンナ・メイシー&クリス・ジョンストン著の『アクティブ・ホープ』という本が手元に届きました。この「アクティブ・ホープ」という考え方、とても好きなので少し内容をシェアします。
■アクティブ・ホープとパッシブ・ホープ
希望には「パッシブ・ホープ(受動的な希望)」と「アクティブ・ホープ(積極的な希望)」がある。パッシブ・ホープは「自分が欲するものを自分以外の誰かがもたらしてくれるのを待つ」ということ。アクティブ・ホープは「自分が望むものを実現する過程に積極的に参加する」ということ。アクティブ・ホープは「持つ
もの」というより「すること」。
■現代を覆う3つのストーリー
1つ目のストーリーの特徴は、世界はこれまでどおり進んでいくというもの。このストーリーを信じていれば、私たちは生き方を変える必要はほとんどないという思考になっていく。
2つ目のストーリーは「大崩壊」というもの。生態系および社会システムの崩壊、気候変動、資源の枯渇、そして生物種の大量絶滅について語るもの。
3つ目のストーリーは、経済成長に象徴される産業成長型社会から、世界を癒し、元に戻すことを最優先する生命持続型社会への画期的な移行をしていくというもので、「大転換」と呼ばれている。このストーリーを信じ、体現しているのは、1つ目のストーリーがわたしたちを破滅的状況に導きつつあることを知り、かつ2つ目のストーリーが現実になることを避けようとアクションする人たち、自分自身の中にある「アクティブ・ホープ」を見出し、それを世界に差し出していく人たち。この3つのストーリーはどれも同時に進行しているので「どのストーリーが正しいか」を論じても意味はない。問うべきは、3つのうちのどのストーリーに自分のエネルギーを使うかということ。メイシーは「『ネガティブなことを語るのはよそう』と問題と向き合うのをやめるのではなく、世界に対しての嘆きや悲しみの存在を認め、つながり、受け止めていくことから「アクティブ・ホープ」の道が開けていく」と語っています。
僕の尊敬する染色家の吉岡幸雄さんは、植物染めの文化が途絶えてしまったこと、その文化を支えてきた水や土や空気が汚染されてしまっていること、人の手間を省いて機械に頼ることで人間の感覚が衰えてしまっていることに対しての嘆きを正直に口にされています。そうでありながらその言葉に嫌味を感じないのは、先人たちの知恵や技術と向き合い、自然界と向き合っていく中で生まれた気づきや感情をあくまで「自分ごと」として語っているからなのではないかと思います。そして、そのような言葉が紡ぎ出される土台には、それら嘆かわしい現実に対して、自分自身の仕事を持って真摯に向き合い続けているからではないかと思います。

「アクティブ・ホープ」は主体的に作り出していく道のようなものであり、日々の仕事のようでもあるように思います。世界の縮図ともいえる目の前の仕事と丁寧に向き合って心に、映し出される嘆きや悲しみを受け止めながら、希望を点すようにひとつひとつ仕事する。一燈照偶、萬燈遍照。希望の花々があちこちに咲く美しき春を祝いたいと思います。