Life is journey 〜地球の一員としての味噌づくり〜 2016.04

Life is journey 〜地球の一員としての味噌づくり〜

アメリカ合衆国上院議員であったゲイロード・ネルソンは1970年4月22日に環境問題についての討論集会を開催する事を呼びかけました。その後、4月22日のアースデイ集会という活動は全世界に広がっていきました。
2011年の原発事故、地震を体験した後「大事な事を話し合う場である永田町でアースデイを」というアイデアを思い立って、2013年から毎年、国会議員会館の会議室を借りて「アースデイ永田町」という集会を続けています。生物多様性や経済、食や暮らしについてのスピーチはディスカッション、ヒーリングや自然食のケータリングなどを用意して、語らいと癒しの場を作ってきたアースデイ永田町で、昨年は「永田町味噌」を仕込みました。政党や主義の違う議員さんや秘書さん、各地から集まった参加者の皆さんに糀、塩、大豆を混ぜてもらって、沖縄選出の参議院議員である糸数慶子さんの議員事務所で寝かせていただいていました。
「永田町は空気がよどんでいる。いい味噌にはならないのではないか。」「腐敗した政治の場所でいい味噌はできないのでは。」という声もある中、初めて仕込んだ「永田町味噌」を十月寝かせた後に開封してみました。その味噌は、ほとんどかびも生えず、お世辞抜きにとんでもなくおいしく仕上がっていました。その味は本当に感動ものだったのですが、それ以上に印象的だったのは、昨年のアースデイ永田町に参加してくれた議員さんや秘書さん、イベントスタッフにシェアした時のそれぞれの明るい笑顔でした。永田町に対してもっている私たちのイメージは、あくまでも私たち人間が勝手に作ったもの。菌の世界から見ると永田町はとても落ち着いていて、住み心地のよい場所なのかもしれません。むしろ、日本国中の人間達の想念がどんな形で集められてきても、それらをすべて受け入れて醸してしまう、そんな力を持った土地だったのだということを改めて実感しました。
党派や意見の違いを超えてそれぞれの持つ生命エネルギーでもある常在菌を持ち寄って、お互いの生命を活性させる薬である味噌に変換して、分かち合う。お互いの命に貢献しあう菌コラボレーション。「党派や立場の違いを越えて、お互いの存在を大切にしあいながらつながりあう。」自分で掲げた理想が途方もなく遠くにあるものなのではないかと思うような出来事が続くと、心が折れそうになることもあります。しかし今回、10キロにも足らない味噌を仕込んだ小さな取り組みが、掲げた理想に対して一歩ずつでも進んでいけるという明るい気持ちを持ち続ける事を支える大きな力になっていることを感じます。
昨年立ち上げた「永田町味噌部」は味噌をかわいく丸めた「みそまる」をスタッフ全員で分け合ったり、綺麗にラッピングした味噌を色々な政党の議員さんや秘書さんの元に届ける活動などを続けながら、今年も4月22日に味噌を仕込みます。ひとりひとりの腸内が整い、心身の健康に少しでも役に立てることができたら。肚が整うことで、ひとりひとりが肚を決め、肚をすえて、肚をわって話し合えるような世界に少しでも貢献できたら。社会的人間としての付き合いをこえた「命と命の触れ合い」のような時間が、これからもっともっと増やしていけたら。そんな願いをこめて、これからも菌のリズムに耳をかたむけながら活動を続けていきたいと思っています。

これからの生き方は、肚が教えてくれるような気がします。ひとりひとり別々と思える命は、本当は菌と菌のように、ひとつの大きな発酵世界を共同創造するひとつの生命体なのだと思います。そして、私たちの腸内に100兆以上暮らしているという腸内細菌を初め、人間が生まれるよりもずっと昔から生きてきた長老とも言える菌たちの小さな声にしっかり耳を傾けながら、調和の世界を醸していけたらと心から願います。